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カテゴリ:◇17~18世紀の陶片( 1 )


2007年 04月 26日

陶片図鑑 3 (17~18世紀の陶片)

一部の土器、須恵器、中国陶磁を除き、広島の海岸や川から出る最も古い陶片と言えば、この時代のものです。※1 16世紀末~17世紀初めの古唐津や、それに続く時代の肥前系陶器、17世紀半ば~18世紀前半の素朴に、或いは丁寧に作られた染付の器、青磁類です。美しい陶片が多いです。

※1 宮島で15世紀頃の古瀬戸片では?と思う破片を拾っていますが、よくわかりません。

(古唐津)
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                           古い唐津(宮島) →大きな画像

古い唐津の器※2 は高台内に兜巾と呼ばれる、円錐状の削り残しがあるものや、特に古いものは高台が低くて、高台脇と高台の区分がはっきりしないものが多いそうです。宮島でも滅多に出ませんから、迷いながら拾っています。天目茶碗タイプや、鉄釉の絵のあるものも見つかりました。
 17世紀のものには、窯で器を重ね焼きした時の痕である砂目跡が残っていることもあります。これは見たらすぐ判りますので、私も収集を始めて間もない頃から拾ってきました。これは宮島以外に、鞆の埋立予定地の干潟や倉橋の鹿老渡でも見つけています。

※2 見出しは一応「古唐津」としましたが、実はこの言葉を使うには躊躇があります。古唐津とは、唐津の草創期である桃山時代から江戸時代初期、慶長~元和(1596~1624年)頃に焼かれた唐津焼のことだそうですが、私がここに載せたものはもう少し時代の幅がありそうだからです。正確には、私が拾った唐津系の陶片の中で、比較的古いタイプと言ったほうがよさそうです。

(京焼風陶器)
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                           京焼風陶器と断面
                    (17世紀後半~18世紀前半、宮島)
         
 淡い黄土色で、高台がカミソリで削ったように鋭い薄手の器が時々宮島などから出てきます。他の古い唐津のザラザラとした器肌と違い、きめの細かい生地が特徴で、京焼風と呼ばれる肥前系の器だそうです。高台内に「柴」などの文字が彫ってある場合もあります。また、これによく似ていますが、土の色がもっとくすんでいるタイプや、蛇の目釉剥ぎのあるもの雰囲気は似ているけれども高台の作りが違うものなどはもっとたくさん出てきます。これらは概ね17世紀後半~18世紀前半のものだそうですが、どこまでが京焼風陶器なのか、私は拾いながらちょっと迷っています。
 脆いのか、底と縁が同時に出たことがありませんが、小皿と碗が殆どのようです。たまにちょっと変わった形のものも拾っていますが、京焼風と考えてよいのかどうか迷っています。本や資料館などで見る京焼風陶器はけっこう高級な感じですが、宮島や鞆で拾ったものは、むしろ素朴な雰囲気です。今のところ、これが出たのは宮島と鞆だけで、どの海岸からも出るわけではありませんから、後の「くらわんか茶碗」のように庶民の間に普及していたわけではなさそうですが、宮島では大量に出ています。当時から厳島神社への参詣者で賑やかだった場所ですので、もしかしたら食べ物屋などでも使われたのでしょうか。たくさん集めても今一つパッとしない、華やかさに欠ける陶片ですが、淡い色のこの器にご飯を盛ったり、野菜や小魚の煮付けなど乗せたりすると、美味しそうに見えたのではないかと思います。

(17~18世紀前半の肥前系陶器)

 肥前系陶器は、17世紀半ば~18世紀前半くらいのものになると、宮島で保存状態のかなり良いものが、たくさん出てくるようになります。鞆でも小さな破片を毎回のように拾っています。なかでも目立つのが銅緑釉や白い釉の掛かった小皿、そして刷毛目模様のついた碗や皿です。

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                          銅緑釉の小皿と裏側
                        (17~18世紀前半、宮島)
    
 銅緑釉には、青磁のような透明感はなく、時にはどぎついほど鮮やかな色をしています。銅緑釉の小皿には頑丈な高台を持った分厚いタイプと薄手のタイプがあるようです。分厚いタイプの中には高台内に削り残し(兜巾)があったりしますので、もしかしたら17世紀前半くらいのやや古いものかもしれません。蛇の目釉剥ぎのあるものが多いです。

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                     白い生地に白い釉が掛かった小皿
                        (17~18世紀、宮島) →大きな画像

 白い釉の小皿は、生地の白さが特徴です。小皿ばかり、幾つも拾っています。これも蛇の目釉剥ぎのあるものが多いです。くらわんか皿との区別が微妙で迷うことがあります。

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                         刷毛目タイプの碗・小皿
                        (17~18世紀前半、宮島) →大きな画像

 白化粧土の刷毛目がついた器には、土の違い、器の厚みなど、いろいろなタイプがあります。蛇の目釉剥ぎのあるものは少ない気がします。他の肥前系の陶器が高台周辺に土を見せているのに対し、この刷毛目タイプの碗には高台を前面施釉したものがけっこう多いです。そのため古いものとわからず、長い間収集対象からはずれ、たくさんあることに気がついてからも、半信半疑で拾っていました。碗や皿以外に、鉢や片口、 火入など、台所用品、生活用品も目立ちますが、これらは時代にもう少し幅があるようです。

(17世紀の染付と18世紀前半のちょっと高級な染付)

                   1640~1690年代くらいの染付の小皿
                         (宮島、八幡川、鞆) →大きな画像
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 私が拾った日本製の染付の中で、もっとも古い時代のものです。17世紀半ば~末くらいまで、初期伊万里と呼ばれる年代のすぐ後の時代くらいだろうと思います。高台径が小さくて、高台の畳み付きの部分を釉剥ぎしたものもあり、細かい砂の付着がある場合もあります。全体に素朴な感じです。拾ったものの大部分は宮島から出たものですが、鞆からも小さな破片が出ました。八幡川からは如意頭の連続模様のある陶片を拾っています。これもたぶんこの時代でよいのだろうと思います。

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                        17世紀後半の染付(宮島) ←針支えのある裏側
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                        17世紀後半の染付(宮島) ←おおきな画像と裏側

 私が拾った陶片の中に、絵付けが丁寧で、筆の線がきりっとした感じのする美しい染付があります。17世紀後半の丁寧に作られた染付です。野の花に流水らしい模様のある陶片は墨弾きの技法を使って濃淡をつけています。裏には針支えの跡があります。その下の輪になった唐草の皿は、葉の部分まで丁寧に輪郭を描いてから中を塗っています。宮島で拾ったこの2つは10センチ前後もある比較的大きな破片ですが、その他にも、この時代らしい、ごく小さな破片を幾つか拾っています。

 宮島や鞆などから、海岸にも輸出された時代の器たちが少しずつ見つかりますが、そのほとんどは簡単な絵付けのもので、アンティークの本にでも出てきそうな、古伊万里らしい古伊万里はほんとうにごく僅かです。それでも、この時代の華やかな陶磁器文化の片鱗が広島の海岸からも見つかることに感動しました。

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                           花唐草の小皿
                       (18世紀前半くらいか、宮島)←大きな画像

 可憐な花唐草は18世紀になってたくさん作られますが、17世紀末くらいにもあり、これはどちらかなと迷いました。小皿ですが、よく見ると皿の縁に小さな窪みがあり、花をかたどった輪花皿であることがわかります。裏は薄く青磁釉が掛かっているようで、花唐草も丁寧で呉須の色の発色も良い方で美しいです。見込みの部分に微かに呉須の色が残っていますので、18世紀に大流行した五弁花があったのではないかと想像しています。でも・・・これも17世紀末くらいには出始めるらしい。うーん・・・(^^ゞ

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                        江戸時代の型紙摺り小皿
                         (18世紀前半、宮島) →大きな画像と説明

 下の写真は型紙を使って絵付けした小皿です。江戸時代の型紙摺りなんですね。美濃地方でも江戸時代に陶器に型紙摺りで模様をつけたものが作られていますが、肥前系の染付にもあります。18世紀前半のもので、量産技法と言うより、装飾方法の一つだったらしいです。そんなわけで、近代のものとは違い、けっこう高級品です。このタイプは裏の手描きの唐草模様も繊細で美しいです。

(青磁と青磁染付)
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                    17~18世紀の青磁&青磁染付(宮島など)    

 ここの記事は17~18世紀半ばくらいの陶片が中心ですが、青磁だけはもう少し後の時代のものも一緒に取り上げています。けっこう古いものが出てきますが、17~18世紀、或いは江戸時代くらいしか私に区別できないものも多いからです。
 17世紀後半、佐賀県の有田や長崎県の波佐見では、模様を彫ったり、一部に染付の模様を入れた美しい青磁皿が作られました。宮島や鞆からもこの時代の青磁片が出てきています。また、細かい年代の判らない香炉類、18世紀頃らしい仏花瓶も拾っています。18世紀後半になると、青磁染付碗が宮島では大量に出てくるようになり、他の海岸や川でもけっこう見つかりますが、これは18世紀~幕末の陶片①で取り上げました。
 江戸時代の青磁の多くは派手な色はしていません。灰色やベージュに近い色のものも多いです。でもこうやって集めてみると、大地から生まれた緑色、青色なんです。
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by 10henkutsu | 2007-04-26 09:58 | ◇17~18世紀の陶片