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カテゴリ:◇18世紀~幕末の陶片②( 1 )


2007年 04月 26日

陶片図鑑 5 (18世紀~幕末の陶片②)

 江戸時代も後期になると、雑器でも比較的薄くて器肌の白い器も多くなります。19世紀~幕末独特の形や模様もあり、それと判りますが、江戸時代か明治のものか、ひょっとしてもっと後のものか判らず悩むこともあります。感覚的に現代のものに近い姿をした食器が多くなるのです。数の上では18世紀のくらわんかタイプよりたくさん出てきますし、よりたくさんの海岸で見つかりますが、古そうな雰囲気がないものも多く、慣れないうちは近代ものと区別がつきにくい場合もあります。ごく身近な海岸の、現代の陶片やプラスチックゴミの中で、なんの違和感も感じさせずに、たった一つだけ混じっていたりするのが江戸後期~幕末の陶片です。

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                              広東碗
                  (18世紀末~19世紀前半、宮島、八幡川)

 名前こそ広東碗ですが日本製の飯茶碗です。18世紀末から19世紀前半に大流行しました。大きなしっかりした高台を持ち、外に向かって広がった形をしています。19世紀の他の碗同様、見込みの部分には、いたずら書きのような、雑なワンポイント模様が描かれている場合が多いです。蓋付きも多かったそうですが、もちろん海岸からは一緒に出てきたりはしません。(^^ゞ 広東碗は私の歩いたあらゆる海岸や川から、頑丈な底の部分がたくさん出ています。 
       
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                    線描きタイプ(江戸後期~幕末、宮島)

 18世紀末以降、線描きのみの模様が流行します。清朝の影響だそうです。宮島以外の場所でもたくさん見つかっています。雑な描き方をしたものも多いのですが、丁寧に描かれたものは繊細で美しく、江戸陶片とはいえ、洋食の器にもなりそうな雰囲気のものもあります。大皿も作られ、宮島や鞆で出ています。線描きタイプは明治になっても合成染料を使って作られています。

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                  海浜風景の皿(幕末~明治、似島、宮島、鞆) →大きな画像&裏

 19世紀になると、島(山)と帆掛け舟、網代、東屋、松の木などを配した海浜模様の小皿がたくさん作られます。ちょっと深めの皿で蛇の目凹型高台の、頑丈なタイプが多いようです。広島の海岸や川からもよく出てきます。私の目には、これらが昔の広島湾の風景に見えてしまいます。遠くの島(山)は現在の広島港から見た似島というわけです。もしかしたら、これを買った人達の、それぞれの故郷の風景に似ることで愛された器なのかもしれません。海浜模様皿は激動の明治維新を越え、明治になっても合成染料を使ってたくさん作られたようです。

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                           菊花型打ち小皿
                      (幕末~明治か、宮島、鞆、似島) →大きな画像  

 これもたくさん出てきます。ちょっとお洒落で清楚な皿なので人気があったのでしょう。目立たずにそっと料理を引き立たせてくれそうですが、そのくせこの小皿、どんなに小さな破片になっても、波で削られて摩滅していてもそれとわかります。おとなしそうですが、意外と個性があるんです。この形の白磁皿はかなり古いものもあるようですが、近代陶片が中心の海岸からもよく出てきますので、拾ったものの多くは幕末~明治くらいなのではと思っています。私には今のところ、それくらいしか判りませんので、明治以降の近代モノも混じっているかもしれませんが、このコーナーに入れました。海浜風景皿と同じように、ごく小さなサイズのものを除いて、底は蛇の目凹型高台です。ほとんどが白磁皿ですが、たまに青磁釉の掛かったものを拾っています。

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                       瀬戸・美濃系の茶碗・湯呑・盃→大きな画像&裏
                    (江戸後期~幕末、宮島、八幡川、似島)

 東日本の海岸ではけっこう珍しくないらしい中世~18世紀頃の瀬戸・美濃地方の器は、広島ではほとんど拾っていませんが、19世紀になると、広島の海岸や川からも、それまでの肥前系の陶片に混じって、瀬戸・美濃系のものが出るようになります。湯呑など小さな器が多く、いかにも手軽な雑器という感じです。光をよく通す白い器肌に、たっぷり呉須を含んだ筆で模様が描かれていて、これが現代の器でないと知った時は驚きでした。模様は唐草や霊芝文、源氏香図、福の字などの他、似ているので私が勝手に染色体模様と呼んでいる湯呑や盃もあります。

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                     馬の目皿(19世紀~幕末頃、宮島)
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                           馬の目皿(裏)

 骨董市などでお馴染みの瀬戸の馬の目皿も、宮島と八幡川からほんの少し出ています。断面や高台あたりの土は、ざっくりときめの荒い感じです。
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                           馬の目皿復元図
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by 10henkutsu | 2007-04-26 09:41 | ◇18世紀~幕末の陶片②