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2007年 04月 26日

陶片図鑑 7 (暮らしの道具)

灯明具やすり鉢、甕など、古いことは確かだけれども、細かい時代が私にはわからないものをまとめてみました。

(灯明具)
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                             灯明具
                     (江戸時代~ 宮島、江田島・切串) →大きな画像

 電灯やランプが普及する以前の明かりの道具も宮島や鞆、江田島・切串から出てきます。長時間使えるように改良したひょうそく、皿の中に灯芯を立てる部分がついたタンコロ。小さな素焼きの、或いは鉄釉などを掛けた灯明皿も、宮島からたくさん拾っています。時代は当然、江戸時代のものが多いでしょうが、近代になってもしばらくは、この手の灯明具も使われていただろうと思います。

(すり鉢)
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                            古いすり鉢
                     (?~江戸時代、宮島、八幡川、鞆) →おおきな画像
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                     古いすり鉢の櫛目部分(すべて宮島)

 詳しい時代も産地もよくわからないままで拾ってきました。現代のすり鉢は櫛目が隙間なく入っていますが、古いものほど櫛目が少ないそうです。私の拾ったものも、江戸時代のものが多いとは思いますが、中にはもっと古い時代のものも混じっていそうです。大部分宮島から出たものですが、八幡川からも少し拾っています。食器類の産地が、江戸後期になるまで肥前地域に集中しているのに対し、すり鉢は土も作り方も様々で、備前や唐津、たぶん関西地域のものなど、いろいろな時代の、さまざまの産地のものが入ってきているのではないかと思います。

(甕、壷)
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                         甕・壷(時代不明、宮島) →大きな画像

 持ち帰るのが憂鬱になりそうな大きな破片から、手に乗るほどの可愛らしいサイズまで、たくさん出てくる甕や壷の類いですが、今のところ拾うだけで、ほとんど分類ができないでいます。しかし、中には大きな窯印のついた、備前の大甕らしい破片も出ていて、これはかなり古いだろうと思っています。

(土瓶)
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                       関西系の土瓶の蓋(幕末頃、宮島)

 広島城の堀跡発掘調査報告書の中に、まったく同じタイプの土瓶の蓋が出ていて、そこに関西系とありました。私が広島で拾い始めた頃、たて続けに幾つかこのタイプを見たのですが、その時は古いものとは思わず、気が付いてから慌てて拾った陶片がこれです。以後、なぜかごく小さな破片を除いて、このタイプに出会いません。それと本体はどんなものなのか、知りたいと思っています。
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by 10henkutsu | 2007-04-26 09:33 | ◇暮らしの道具
2007年 04月 26日

陶片図鑑 10 (明治~昭和の陶片③)

(洋食器)

 近代になると江戸時代から引き続いた飯茶碗や小皿などに加えて、洋風の食器類が普及していきます。その中には高級ブランドものや、ウイロー・パターンと呼ばれる東洋趣味の洋食器もあり、海岸からも時々出てきます。
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                   オールド・ノリタケ、コーヒーカップの受け皿
                        (大正~昭和戦前、似島)

 海岸で拾える戦前の高級ブランド洋食器で一番多いのはノリタケ、日本陶器の器です。しかし美しい器も上絵付けが丁寧であっただけ、海岸では剥げて白っぽくなり、ノリタケの銘がなければ、かつての姿など想像できない状態で見つかります。その中で写真の3点は保存状態も良く、珍しく模様もそのまま残っていました。左端の皿は「オールドノリタケ コレクターズガイド」(木村一彦&葵航太郎著、トンボ出版)により、右端は模様の意匠登録番号から、コーヒーカップの受け皿と判りました。中央の小皿もたぶん受け皿だろうと思います。
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                     ノリタケの裏印の一つ、ヤジロベー印

 オールド・ノリタケの裏印はたくさんありますが、ヤジロベーの形をした裏印は代表的なものの一つです。モダンで美しいコーヒーカップなどのイメージが強いノリタケですが、国民食器の小皿も作っていたらしく、当時の状況が偲ばれます。広島の海岸では、東洋陶器の器も少し拾っています。

(台所の道具)

 近代の陶製台所道具では、すり鉢、急須や土瓶、おろし金などが目立ちますが、すり鉢はつい古いものばかり拾ってしまい、急須や土瓶は私に判断のつかないものも多く、陶製おろし金以外はまだあまり集めていません。

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                    陶製おろし金(戦前、宮島、八幡川、鞆) →大きな画像&裏

 陶製のおろし金は、意外にたくさん出てきます。白磁のタイプは昭和の金属代用品で、戦時中の統制番号入りも拾っています。茶色のタイプは時代に幅があるかもしれず、中には明治、大正のものが混じっているかもしれません。大部分は金属製のおろし金にあるような角型ですが、たまに皿の形をしたものもあり、これは古瀬戸のおろし皿を連想させます。

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                     似島に多い謎の蓋(たぶん近代か)

 とにかく似島でたくさん出てきます。最近まで、あまり拾ってこなかったせいかもしれませんが、いつ行っても、必ず大きな破片や小さな破片が転がっています。それでなくても生物の豊かな似島の海岸で、陶器の柔らかい器肌は表面のツルツルした磁器よりも生物達にとって心地よいのか、うんざりするほど海藻だの、ヤッコカンザシの類いだの、ありとあらゆる魑魅魍魎ども?(^^ゞ がくっついていることも多く、図体が大きい割りに、そう美しいとも思えず、長い間なんとなく無視してしまっていました。なんだか嫌いという陶片って実はあるんですよね。(ーー;) でも、あまりに繰り返し、繰り返し、目の前に出てきますので、これは拾わないわけにはいかないなあと思い、持ち帰るようになりました。おまけに最近、鎌倉の材木座海岸に漂着した古瀬戸などを身近に手にする機会が増えてから、「あっ!」と思ってしまいました。これ、中世の瀬戸の施釉陶器の遠い成れの果てのような雰囲気があります。似島でたくさん出ることからも、近代のものだろうと思いますが、ひょっとしたら瀬戸産かしら?少し興味が湧いてきました。これも、こんなにたくさん蓋を見かけるのに、本体がどんなものか判らないでいます。何しろセットで出てきてはくれませんから。きっと気付かないだけで、本体も出ているはずでしょうけどね。なぜか似島で特に目立ちますが、宮島、鞆、八幡川あたりでも拾っています。

(碍子、タイル、便器など)
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                   碍子、タイル、コンセント、ローゼット、便器 →大きな画像&裏  
           (明治~昭和、ただし戸車の時代は不明、似島、鞆、江田島、畑賀川)

 古い家を取り壊した時に出たものでしょうか。タイルや便器なども出てきます。写真左端のタイルは銅版転写で繊細な模様が付けられています。裏がザラザラの分厚い陶器でできたタイルで、明治~大正頃の瀬戸で作られたもの。写真右端の染付は便器です。大便器の〇〇隠しの部分ですね。家族から最もヒンシュクを買ったコレクションですが、便器には可憐な野の草や牡丹の花が描かれていて美しいです。昔の人は風流なものです。

 海岸や川では碍子もたくさん見つかります。碍子とは送電線などに使われる電気絶縁用の磁器製品で、電柱を見上げると、今でもたくさん使われています。家の中でも小さな碍子が使われていました。写真のタイルの下にある、小さなくびれた筒状のタイプですが、これは数も多かったのでしょう、出てくる、出てくる、出てくる、私も一々拾ってはいないのですが、それでもサンプルとして少し持ち帰っています。現代の家の中で陶磁器製品はずいぶん少なくなりましたが、コンセント類も、電灯の天井と繋がっている部分(ローゼット)も、かつては陶製でした。

 写真中央のドーナツ状のものは戸車です。戸が滑らかに動くよう、埋め込まれるもので、陶製のものが時々見つかります。この陶製戸車、窯道具として器を載せて焼くのにも使われたそうで、有田の川へ行けば、山のように見つかりますが、広島で出てきたものは、たぶん本来の用途で使われたものだろうと思います。

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                          沈子(昭和か、鞆)

 海岸では漁に使う陶製の沈子もよく出てきます。写真は鞆でたくさん見つかる小さな沈子で、釉薬の掛かったものもたまにありますが、ほとんどは素焼きです。これよりも大きな釉薬の掛かった沈子も、いろいろな形や大きさで出てきます。
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by 10henkutsu | 2007-04-26 09:14 | ◇明治~昭和の陶片③
2007年 04月 26日

陶片図鑑 12 (戦後の陶片)

 海岸陶片を集めていると、どこまで拾うかという問題にぶつかります。身近な海岸に江戸時代の陶片があることに気がついて始まった私の陶片収集は、そんなわけで江戸時代が出発点でした。そこから時には中世や、もっと古い時代まで遡り、一方で明治、大正と近代史をたどるようにして干潟を歩き、ついに昭和と出会ったのです。戦時中の生活を感じ、占領下を通過し、やがて昭和30~40年代、私の子ども時代の記憶と合流する。干潟のなかで、書物の中の日本史と、私自身の歴史が出会う感動を体験しました。学校時代、いつも駆け足状態の三学期、ほとんど習わずに終わってしまったような現代史ですが、海岸では圧倒的なモノの存在感で戦後の、ちょっとだけ昔の世界が散乱しています。
 戦後の陶片は収集に値するか。つい昨日まで家庭にあった、それどころか今も使っているような食器類。しかし戦後も既に60年以上経過し、十分に歴史上の時代となりつつあります。私が子どもだった頃と今とでは、社会の状況、雰囲気も、感性も違っていました。社会の状況、感性が違えば、身の回りのモノだって違ってきます。「戦後のものだが、たぶん30年以上はたっている」と思われるグループに属する陶片をどうするか。今のところは、その時の気分のまま・・・です。でも少しずつ集まり始めました。

(占領下の陶片)
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                 MADE IN OCCUPIED JAPANの文字入り
                           (占領下、宮島)

 戦後しばらく、日本からの輸出品には、MADE IN OCCUPIED JAPAN(占領下の日本製)という文字が付けられていたそうです。文字の入った小さな底の部分だけですが、宮島と似島で一つずつ拾っています。

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                        ローズチャイナ印のノリタケ
                       (昭和21年~、宮島、似島) →大きな画像&裏
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                         ローズチャイナの裏印

 海岸から、たまに可愛らしいバラのマークの付いた洋食器が出てくることがあります。実はこれ、戦後すぐのノリタケなんです。戦前と同じ品質のものがまだ作れなかったため、ノリタケの商標を守るために、昭和21年から、しばらく使った裏印だそうです。※ 輸出向けだけでなく、進駐軍向けの製品にもこの裏印が使用されていた可能性があるそうですが、海岸から時たま出るところを見ると、進駐軍を通じて国内にも幾らか出回ったのかもしれません。

※ 「オールドノリタケ コレクターズガイド」 木村一彦&葵航太郎著、トンボ出版

(昭和30~40年代の陶片)
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                      懐かしい水玉の食器(鞆、似島)

 私の記憶にもある時代の陶片たちです。水玉模様の急須や飯茶碗、湯呑は当時どこの家庭でもあったのではないでしょうか。これらは長崎県の波佐見で生産されたそうです。波佐見は「くらわんか茶碗」の故郷です。江戸時代から、庶民に愛される安くて飽きの来ない日常雑器を作ってきた伝統がこの時代にも生き続けていたのですね。
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                      昭和40年代の子ども茶碗(似島)

 パーマン柄の子ども茶碗です。高台内のマークは金正陶器。昭和35年頃からキャラクターの絵のついた子ども茶碗を作ってきたメーカーのものです。子ども茶碗は今まで拾った数が案外少なくて、戦後のものとはっきり判るものはこれ一つだけです。

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                        お風呂や水周りのタイル
                        (昭和40年代頃までか)

 お風呂か水周りのタイル。これも、できるだけ見ないように気をつけていたものの一つです。何しろ大きな塊で捨てられていることが多く、たいていは家の廃材という感じです。でも、たまにこんな小さな破片になって、ちょうど良いくらいに摩滅して出てくるものがあり、つい拾ってしまいました。長い間、私の部屋で文鎮として活躍してくれています。「お湯に首までつかって!色のついたタイルを数えたら出ましょうね」こんな声が聞こえてきそうです。

(昭和50年代以降の陶片)
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                        唐子模様の蓋
                  (たぶん昭和50年代以降、鞆)

 陶片を拾い始めた頃、まさか将来これを拾うとは夢にも思いませんでした。今でもたいていは拾いませんけど・・・(^^ゞ でも、このデザイン、新しい陶片の中では飛び抜けて目立ちます。よく見かけます。私の陶片コレクションの中で最も新参者の陶片です。
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by 10henkutsu | 2007-04-26 09:02 | ◇戦後の陶片